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鎬京花ノ怪奇手帳

【怖い話】鎬京花ノ怪奇手帳「四つ石村/その1」

投稿日:2019年4月25日 更新日:

鎬京花ノ怪奇手帳「四つ石村/その1」

「四つ石村・・・って知ってます?先生」

「いや・・・聞いたこともないな」

 

先生のボロアパートの事務所にお邪魔して5分。

世間話をしても話が弾まないので本題に入る。

 

しかし、相変わらず私の話に全く興味を示さない。

返事をしてくれるだけマシか。

 

「ネットの都市伝説の一つみたいなんですけどね。

 よく聞く寂れた廃村で、その昔・・・大量殺人があったとか・・・」

 

「はぁ・・・相変わらず下らない事を調べてるんだな君は・・・

 ヒマで羨ましいよ」

 

「先生、私は決して暇人じゃありません。

 これも仕事なんです。

 今、ホラーや怪談なんかのブームなんですよ?

 

 私のサイトも結構人気で、それなりに収入もあります。

 って・・・そんな事はどうでもいいですね」

 

「・・・私もそんなに暇ではないのでね。

 君の下らない与太話に付き合ってられないのだが」

 

何やら書類に目を通しながら先生はボヤく・・・これもいつものことだ。

 


「面白いのはここからです。

 この四つ石村を調べてたネットユーザーがいるんです。

 その人物が失踪しました」

「・・・」

 

先生の書類をめくる手が止まった。

 

「消えたユーザーは、いわゆるネット配信業をしていたようで、

 こういう都市伝説ネタも今まで検証をしていたようです。

 

 で、四つ石村について何か有力な情報を掴んだようで、

 生配信をしつつ、四つ石村近くまで向かったそうなんですが・・・

 

 ある山の入り口辺りで、配信が急に止まり・・・

 その後、彼の配信は止まっているというわけです。

 どうです?神隠しみたいで面白いでしょ?」

 

「京花君・・・相変わらずの不謹慎だね君は。

 面白い話ではないでしょう」

 

「でも興味は惹かれたのでは?」

 

「はぁ・・・で、私にどうしろと?」

「話が早くて助かります」


先生の力・・・

「で、そのネットユーザーとやらの私物は何かあるの?

 私に依頼をしてくるってことは、”そういうこと”なんだろ?」

「そうなんですけどね。

 いや~・・・それがその・・・私物は・・・てへ」

 

「はぁ?それじゃあ私にどうしろと?」

「ネットユーザーの最期の放送で、失踪した場所は何とかアタリをつけてます。

 で・・・ここからは相談なのですが・・・」

 

「私に現地に行けと?」

「そこで何とか手がかりを見つけられないかなぁと・・・」

 

「はぁ・・・君は私の”力”を過信しすぎだよ。

 サイコメトラーEIJIじゃあるまいし・・・残留思念を読み取るなんて、

 出来るかどうかも解らないし、現地にそのネットユーザーの痕跡があるとも限らないじゃないか」

 

先生は対象の持ち物に触れる事で、その持ち主の生死を感じ取れるらしい。

ハッキリと死を感じる場合、ハッキリと生を感じ取る場合・・・曖昧な場合。

 

もし生きていれば、そこから先に先生の出る幕はない。

先ほど先生自らも言っていたが、記憶を読み取り、そこから足跡を辿るなんて力はないそうだ。

 

だが、亡くなっていれば話は違ってくる。

信じがたい話だが、先生は見えたり感じたりできるそうだ。

でも、その力も万能ではなく、常に見えたり聞こえたりも、ないみたい。

詳しくは知らないんだけどね。

 

持ち物に触れ、持ち主の”死”というか、なんというか・・・

本人じゃないので説明はできませんが、とにかく感じるんだって。

そして、そこから見え始めるんだって・・・煙のような、糸のような・・・

 

まるで遺体に導くかのように・・・

 


そう。先生の仕事は探偵・・・。

特殊な人探し専門の・・・。

死体探しの探偵・・・。

 

まぁ・・・特殊すぎる故に、人づてに辿り着くことでしか出会えないのが先生だ。

年は私とそう変わらない20代後半から30代前半。

幸は薄そうだけど、美人の先生・・・

 

結婚どころか、友達もいない孤独な人・・・

私との共通点。

 

「何をニヤニヤしてるんだ・・・私はやらないぞ」

「痕跡がなければとんぼ返り、痕跡を見つければ反応次第で、行動に移しましょ。

 どちらにしても依頼料は払いますから!」

 

「はぁ・・・(嫌な予感がするなぁ・・・)」

 

鎬京花・・・心霊ライター気取り。

こういう輩は元々好きではなかったが・・・

この子とは、どういうわけかウマが合ってしまった。

 

京花君・・・君は私を霊能力者とかそういう類の物と勘違いしてるようだけど、

そんな凄いものじゃないんだよ・・・。

できる事なら、”ガチで”ヤバそうな事にはクビを突っ込みたくないんだ。

 

私自身はおろか、君を守ってやることすら出来ない・・・。

そんな弱い、ただの人間なのだから。

 

「とりあえず現場にはいくよ。

 でも、本当にヤバいと感じたら引き返すから・・・いいね?」

「了解でっす!」

 

次回に続く。

 

■次回

【怖い話】鎬京花ノ怪奇手帳「四つ石村/その2」


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