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【都市伝説】消えない通知「見ています」

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オカルトネタ

【都市伝説】消えない通知「見ています」

投稿日:

怪談というのは、不思議な出来事そのものよりも、「それを聞いたあと、日常の景色が少しだけ変わってしまう」瞬間がいちばん怖いんです。
今夜お話しするのは、都内の古い団地で起きた、ありふれたはずの出来事です。
ただひとつだけ、説明できない点が残りました。
もしこの話を読み終えたあと、あなたのスマホの通知が妙に静かになっていたら。
それは、たまたまではないかもしれません。

 

消えない通知

【都市伝説】消えない通知「見ています」

それは数年前、私がまだ怪談の仕事だけで食えるほどでもなく、深夜のラジオ番組に呼ばれて細々と喋っていた頃のことです。
番組の終わり際、ディレクターの若い男が妙に真顔で言いました。

「すみません、ちょっと……紹介したい人がいるんです」

連れてこられたのが、佐久間さんという三十代の女性でした。服装はきちんとしているのに、顔色だけが薄く、ずっと眠れていない人の目をしていました。

「怪談、信じてますか」

彼女は開口一番そう言って、私の手元の台本じゃなく、スマホの画面を見せてきたんです。
通知欄に、見慣れないアイコンがひとつ。
タイトルは、短くこう出ていました。

『見ています』

「これ、何のアプリですか」

私が聞くと、彼女は首を横に振りました。

「入れてないんです。消しても、消しても出てくるんです」

通知をタップすると、何かの配信アプリのような画面が立ち上がりました。
真っ黒い背景に、白い文字だけがゆっくり浮かび上がる。

『いま ベランダ』

「……ベランダ?」
「はい」

佐久間さんの部屋は、古い団地の五階。ベランダはあるけど、隣の棟と少し距離があるだけで、誰かが覗けるような造りではないそうです。
それでも彼女は、半信半疑でカーテンを少しだけ開けたと言いました。
すると、ベランダの手すりの外側。つまり、落ちたら終わりの場所に、誰かの指の跡みたいな白い粉がついていた。

「触ったら、冷たくて……粉じゃなくて、霜みたいでした」

真夏の話です。

「通知は、そのあとどうなりました」

私が聞くと、彼女はスマホを握りしめて言いました。

「次の日から、もっと具体的になったんです」

 

団地の配信者

【都市伝説】消えない通知「見ています」

佐久間さんの住む団地は、昭和の終わり頃に建てられた大規模なところで、棟がいくつも並んでいます。
住民の高齢化が進んで、夜はやけに静か。上の階の足音が響くと、逆に目立つ。
そんな場所で、彼女のスマホには毎晩、同じ時刻に通知が来るようになりました。
午前二時十三分。

『見ています』

続けて、短い指示みたいな文。

『玄関』
『台所』
『洗面所』

まるで、部屋の中を順に巡回しているような。
彼女は最初、誰かの悪質なストーカーだと思って警察に相談しました。
けれど、ドアのチェーンも鍵も壊されていない。窓のこじ開け跡もない。
防犯カメラは?と聞かれても、団地の入口に古いものがあるだけで、彼女の階までは映らない。

「じゃあ、スマホが乗っ取られてるんじゃないですか」

そう言われて、彼女は携帯ショップにも行きました。
初期化もした。アカウントのパスワードも変えた。
それでも通知は戻ってくる。

「番号変えても、来るんです」

そしてある晩、通知の文面が変わりました。

『配信を開始しました』

画面には、ライブ配信のような視聴者数が出ていたそうです。
視聴者数、0。
コメント欄、空。
けれど、画面の中央にひとつだけ、ぼんやりとした映像が出ている。
暗くて粒子が荒くて、何が映っているか分からない。
ただ、ゆっくりとカメラが動いている。

「……これ、うちの部屋でした」

佐久間さんが言ったその一言で、私は背中がぞくりとしました。
映像の端に、見慣れたカレンダー。
テーブルの上のマグカップ。
そして、ソファの背もたれの向こうに、彼女自身の後頭部が映っていた。
つまり、その配信カメラは、部屋の中のどこかにある。

「探したんです。小型カメラ、盗聴器、全部……」

家電の裏も、コンセントも、天井の煙感知器も。
見つからない。
なのに配信映像は、確かに彼女の生活を追ってくる。
それが一番不気味なのは、カメラの高さが変わることでした。
床すれすれになったり、急に高い位置から見下ろしたり。

「人が持って歩いてるみたいに動くんです。でも、誰もいないんです」

彼女は笑おうとして失敗した顔をしました。

「……私、最近、家の中でひとりでいる時に、つい独り言が増えてたんですよ」
「怖いからですか?」

「怖いから……じゃないんです」

彼女は一度、言葉を飲み込みました。

「誰かが聞いてる気がして、つい、説明しちゃうんです。自分の行動を」

これ、ヒトってやるんですよね。
存在しないはずの相手に、言い訳みたいに自分の行動を語る。
そして、その晩から、通知が“返事”をするようになった。

 

返事をする何か

【都市伝説】消えない通知「見ています」

午前二時十三分。

『見ています』

佐久間さんが台所で水を飲むと、通知。

『飲むなら コップを変えたほうがいい』

彼女は思わず声に出したそうです。

「……なんで?」

すると、間を置かずに通知が鳴った。

『割れている』

ゾッとしながらコップを見たら、縁の内側に小さな欠けがあった。
気づかなければ、唇を切っていたかもしれない。

「助けてくれてるって、思っちゃったんです」

その感覚が、いちばん危ない。
相手が何者でも、“善意”に見えた瞬間に、人は心を開く。
彼女はその日から、通知に従うようになりました。

『窓を開けないで』
『今夜は風呂に入らないで』
『帰宅を遅らせて』

理由を聞くと、短い答えが返ってくる。

『下にいる』
『水が冷たい』
『駅で待っている』

実際、言われた通りにした日は、妙に嫌なことが避けられたそうです。
窓を開けなかった日は、翌朝ベランダにカラスの死骸が落ちていた。
風呂に入らなかった日は、夜中に給湯器が故障して熱湯が逆流した。
帰宅を遅らせた日は、彼女の棟の階段で不審者が目撃されていた。
偶然かもしれない。
けれど、偶然にしては出来すぎている。
そして、ある晩。
通知の文面が、初めて“お願い”になった。

『見せて』

「何を?」

彼女がそう打って送ると、配信画面が切り替わりました。
映ったのは、彼女の部屋じゃなかった。
薄暗い廊下。団地の共用廊下です。
そしてカメラは、彼女の玄関ドアの前で止まっている。
ドアスコープの位置より少し低い。
ドアの前には、何もない。
けれど、画面の端に、何かがふっと入った。
……影です。
人の影じゃない。
影だけが、床を這うように伸びて、ドアの隙間へ染み込んでいく。
その瞬間、佐久間さんの部屋の玄関の内側で、カタン、と音がした。
チェーンが揺れる音。

「誰かいる……?」

彼女が後ずさると、通知。

『見せて』

配信画面の視聴者数が、0から1になった。
コメント欄に、ひとつだけ文字が流れた。

『きこえる』

佐久間さんは思わず、玄関に向かって叫んだそうです。

「誰! やめて!」

すると、スマホのスピーカーから、微かな音が返ってきた。
ノイズ交じりの、ひとの息。
そして、男とも女ともつかない声が、ゆっくりと言った。

「……あけて」

彼女は玄関に近づかなかった。
鍵も触らなかった。
ただ、泣きながらスマホを投げて、布団を頭からかぶって朝まで震えていた。
翌朝、玄関の内側に、白い霜がついていたそうです。
真夏の、霜。
それから数日、通知は一度も来なかった。
やっと終わったと思った矢先、今度は別の形で始まった。
彼女のスマホではなく、職場のパソコン。
メールの件名が、同じだった。

『見ています』

 

受け渡し

【都市伝説】消えない通知「見ています」

佐久間さんの職場はコールセンターで、受信したメールは迷惑フォルダに振り分けられました。
けれど、迷惑フォルダを開くたびに、件名が変わる。

『見ています』
『きょう 遅い』
『いま うしろ』

同僚に相談すると、笑われました。

「怖い話の読みすぎじゃない?」

その日の帰り道、駅のホームで彼女は妙な感覚に襲われたそうです。
視線ではなく、温度です。
背中の皮膚だけが冷える。
振り向くと、少し離れたところにスーツ姿の男が立っていた。
顔は普通。
ただ、スマホを胸の高さに構えている。
こちらを撮っているようにも見える。
目が合った瞬間、その男は小さく笑って言った。

「見えてる?」

佐久間さんは逃げました。
人混みに紛れて、改札を抜けて、タクシーに飛び乗って帰った。
部屋に着いて、息を切らしながら玄関を閉める。
その時、通知が鳴った。

『配信を開始しました』

視聴者数、1。
コメント欄に、短くこう出た。

『おかえり』

彼女はその夜、初めてはっきりと理解しました。
相手は“中”にいるのではなく、“つながり”そのものにいる。
スマホを替えても、番号を変えても、端末を初期化しても、意味がない。
自分が「見られる側」である限り、どこへでも追ってくる。
彼女は最後に、ひとつだけ試しました。
団地の自治会の回覧板に、こう書いたのです。

「深夜の不審な配信がありました。心当たりのない通知は開かないでください」

そして翌日。
彼女の部屋のポストに、差出人不明の封筒が入っていました。
中身は、古いSDカードが一枚。
ラベルに、油性ペンで雑にひとこと。

『つづき』

怖いけれど、見なければ終わらない気がした。
彼女はノートパソコンに挿して、再生しました。
映像は、団地の共用廊下。
夜。
カメラがゆっくり進む。
そして、自分の部屋のドアの前で止まる。
ドアの前に、誰かが立っている。
スーツ姿の男。
男はカメラに向かって、軽く会釈をした。
次の瞬間、男の顔が、ノイズで崩れた。
崩れたのではなく、“塗り替わった”。
目鼻口の位置がずれて、別人の輪郭に重なって、また戻る。
何人もの顔が、薄い膜の下で入れ替わっているみたいでした。
そして男は、口だけをはっきり動かして言った。

「みせてくれて、ありがとう」

その映像の最後。
カメラがふっと下を向いたんです。
床に、白い霜の跡。
その霜の跡が、文字になっていた。

『次は あなた』

私がここまで聞いて、背筋の汗が冷えたのは、佐久間さんが続けて言った一言のせいです。

「回覧板、あれから回ってこなかったんですよ」
「回ってこない?」

「はい。うちの棟だけ、止まったままです」

団地というのは、回覧板が止まると妙に目立ちます。
誰が止めているのか。
どこで止めているのか。
そして、何を書き足したのか。
私はその時、彼女のスマホの通知欄に、また例のアイコンが戻っているのを見ました。

『見ています』

ただし、今度は文面が少し違った。

『聞いています』

……ラジオのスタジオで、です。
私たちが話している、この場を。
私は咄嗟にマイクを切ろうとした。
けれど、佐久間さんが小さく首を振りました。

「切っても、たぶん……」

そう言って彼女は、私のスマホを見ました。
私の通知欄にも、同じアイコンがひとつ、増えていたんです。

 

まとめ

スマホというのは便利な道具ですが、同時に「見せるための窓」でもあります。
誰かに見られることを前提に作られた窓は、ときどき、こちらの意志とは関係なく開いてしまう。
佐久間さんの件が心霊なのか、ヒトコワなのか、あるいは都市伝説の類なのか、結論は出せません。
ただひとつ言えるのは、相手が何者であれ、こちらが“反応した瞬間”に、つながりは深くなるということです。
通知が鳴ったとき、あなたはつい、画面を開いてしまうでしょう。
でももし、見覚えのないアイコンがそこにあったら。
……そのまま閉じたほうがいいかもしれません。
あれが何だったのか、未だに謎のままです。

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